家族に介護が必要となった場合、「施設介護」と「在宅介護」のどちらかを選択することになります。特に「在宅介護」を選び、初めて家族の介護を行う介護者は、施設職員が行う「施設介護」以上に精神的・肉体的、そして時間的にも負担が大きいのではないでしょうか。
そこで、今回は、着替え介助の時間短縮や負担軽減にもつながる、介護用パジャマについてご紹介したいと思います。介護は、排泄時や入浴時など、1日の間に着脱を行う機会が多い為、「在宅介護」の負担を少しでも緩和してくれます。また、施設へ入所する際に施設側から準備をお願いされることもある為、今の介護状態に合わせた介護用パジャマの種類を知っておくようにしましょう。

目次

介護用パジャマとは

介護用パジャマの種類

介護用パジャマは、使用する場面や目的に応じて、大きく3種類に分けることができます。

【着物タイプ】
自力で動くことが困難な状態の方には着物タイプのパジャマがおすすめです。
例えば、半身に障害のある方や寝たきりの方の場合、着物タイプは腕さえ通すことができれば、あとは前を閉じるだけであるため、上下別のタイプと比べてもスムーズに着替えを行うことができます。
着物タイプは、介護現場だけではなく、1日の間に複数の検査を受けることが多い入院時に使用する方もいます。

【上下別タイプ】
健常者が着ている上下別のパジャマは、上はボタンで止め、下はズボンタイプが一般的です。
しかし、介護用パジャマの場合、上は着脱しやすいようにマジックテープを使っているものが多く、下のズボンは、おむつ交換時の着脱を考え、両横にファスナーの付いているものが販売されています。
また、一見、マジックテープ仕様であることがわからないように工夫するなど、見た目に配慮したパジャマもあります。上下が分かれているため、別々に洗い替えを準備できるのも大きなポイントです。

【上下一体タイプ】
つなぎのように上下が繋がっているパジャマです。脇や股にファスナーの付いているものが多く、自傷行為やおむついじりをしてしまう方、骨折など怪我をしている方におすすめです。つなぎタイプでもファスナー付きであれば、オムツ交換もスムーズに行うことができます。
また、つなぎタイプの中には、要介護者が簡単に脱がないように、特殊なホックが採用されているものもあります。

着替えの必要性

外出をせず、室内にいる時間が長い要介護者でも、パジャマを着替える必要があります。
ここでは、生活の質を高める〝着替え〟の必要性についてお話したいと思います。

【清潔な状態を保つため】
例え、外出をせず、寝たきりであったとしても、人は生きている限り、汗をかき、乾燥した皮膚は自然と剥がれていきます。
そのため、寝たきりの状態でも目には見えない様々な汚れがパジャマには付着しています。
免疫力の低い要介護者が、怪我をしていた場合、不衛生な状態で長時間いれば、そこから感染症を起こす危険性があります。汗をかきやすい夏は、少し多めに着替えを行うなど、季節や体調に合わせた対応も大切です。

【生活にメリハリをつけるため】
起床時、就寝時、外出時など、それぞれの状況に合わせた服装を着ることによって、同じ服で過ごす退屈な日常に刺激を与えることができます。
また、着替えは、時間の区別がつきやすくなるため、要介護者に日常の時間の流れを意識させることができます。

【その日の体調を確認するため】
着替えは、その日の体調や肌の状態を確認することができます。少しの異変も見逃さないよう、しっかりと確認をしましょう。同じ体勢で長時間いると、褥瘡の原因にもなるシワやたるみが増える可能性があります。着替えの際にはシワなどを伸ばし、褥瘡対策も少しずつ行うようにしましょう

介護用パジャマを選ぶおすすめのポイント

着脱の仕方

介護者の負担を軽くするのであれば、パジャマの着脱が簡単にできるものを選びましょう。スムーズな着脱であれば、要介護者の体への負担も最小限に抑えることもできます。介護者の負担が減ることにより、今まで手の回らなかった点を、気にかけられるようにもなります。

介護用パジャマは、最初にご紹介した通り様々な種類があります。
一般的なパジャマと同じように上下が分かれているものは、基本的に自力で歩くことができ、トイレにも行ける介護度の軽い方におすすめです。
下半身に障害があるなど、自力で歩くことが難しい方、寝たきりの状態で過ごしている方は、自身での着替えが困難なため、着物のように一枚になっているものが良いでしょう。認知症などの症状があり、脱ぎ癖のある方は、簡単に脱げないよう上下が繋がっているつなぎのようなパジャマがおすすめです。
着脱を簡単に行うのであれば、ファスナーやマジックテープなどを使用しているパジャマを選ぶと良いでしょう。

素材

介護用パジャマを選ぶ際には、素材を確認しておきましょう。利便性を重視するだけではなく、実際に着用する方の肌に合う素材を選ぶことにより、肌荒れや褥瘡などの予防に繋げることができます。

・季節
高齢になると体温調節を行うことが難しくなるため、季節に合わせて生地を選びましょう。
夏など暑い時期は、木綿・サッカー・クレープ・スムースがおすすめです。通気性が良く薄手の生地のため、熱がこもりにくく汗もしっかりと吸収をしてくれます。
冬など寒い時期は、厚手木綿・メリヤス・ネル・厚手スムースがおすすめです。厚い生地で体を冷やさないように守ってくれます。

・肌触り
介護用パジャマは、肌に触れている時間が長い分、肌触りについてもこだわるようにしましょう。特に、人気の高いガーゼタイプは肌触りが良くおすすめです。また、肌が弱っている場合、少しの刺激で肌を痛めてしまう可能性があります。生地の種類だけではなく、できるだけパジャマの縫い目やタグが肌に当たらないようなデザインのものを選びましょう。

・着脱のしやすさ
自力での着替えが困難で、介護者が着替えを行う場合は、生地が伸びて着替えをしやすいストレッチ素材がおすすめです。

利用場所

介護用パジャマは、自宅・介護施設・病院など、状況に合わせて選ぶようにしましょう。
自宅の場合は、要介護者のレベルに合わせて選びましょう。ボタンでとめるパジャマは、手先を動かすことのできる方であれば、機能訓練の一つになります。
介護施設の場合も、要介護者のレベルに合わせます。入浴時の全介護が必要な方は簡単に着脱ができるものを選びましょう。ボタンの付いているパジャマはできるだけ避け、簡単に着脱ができるホックタイプがおすすめです。
病院の場合は、検査をスムーズに行うことができる着物タイプを選ぶと良いでしょう。

デザイン性

Variety of different fabric bolts exposed on shelves of fabric shop

機能や素材だけではなく、デザイン性についても注目しましょう。特に、一日の大半をパジャマで過ごす方は、 好みのパジャマを着ることが活力にもなります。要介護者の好きな色や柄を選んで、プレゼントをしても良いでしょう。
また、要介護者が認知症であった場合、好きな柄のパジャマによって、認知症の症状の緩和に繋がることもあります。

介護用パジャマのおすすめ人気ランキング9選

第9位 カワトー ワンタッチ&腰開きワンタッチパジャマ

価格 7,470円
サイズ S・M・L・LL
性別 男性用

商品の特徴
上下別タイプのパジャマです。すべてワンタッチテープで留めることができるため、着脱が簡単に行えます。上は飾りボタンが付いており、見た目は普通のパジャマと変わりません。また、検温や点滴が簡単に行えるよ
う、袖口にもテープが付いています。また、ウエスト部分は腰まで開くようになっており、オムツの交換も簡単です。

素材
ポリエステル65%、綿35%(天竺)

第8位 ハナサンテラス ワンタッチパジャマ

価格 4,268円
サイズ S・M・L・LL・3L・4L
性別 女性用

商品の特徴
年間通して着用することのできる女性用パジャマです。ワンタッチテープで着脱が簡単なのはもちろんですが、パジャマの形にもこだわって作られています。可愛らしいラグラン袖は動きやすく、手口にゴムが入っているため勝手にまくれることもありません。サイズも6種類と豊富で多くの方が着用することのできるパジャマです。

素材
ポリエステル65%、綿35%(スムース)

第7位 エンゼル コンビネーション(フルオープン型)

価格 9,900円
サイズ S・M・L・LL・3L・4L
性別 両用

商品の特徴
上下一体タイプのパジャマで、上はチェック、下は単色のおしゃれなデザインとなります。上下でデザインが異なるため、一見上下別タイプにも見せることができます。洗濯・脱水・乾燥機とお手入れも問題なく行うことができ、常に清潔な状態で着用することができます。プッシュホック式のため、要介護者が勝手に開けてしまう心配もありません。

素材
ポリエステル65%、綿35%(ツイル)

第6位 竹虎 フドーⓇねまき3型

価格 9,020円
サイズ S・M・L・LL・3L
性別 両用

商品の特徴
「ご利用者と介助者が、より快適に暮らせる環境を作りたい」という思いのもと開発をされたねまきです。右足首から胸元まであるファスナーと、股部分にあるファスナーによって、着替えや介護を今までよりも簡単に行うことができます。カラーも10種類以上あるため、毎日をより楽しく過ごすことができるかもしれません。

素材
綿68%、ポリエステル32%

第5位 竹虎 ソフトケアⓇねまき

価格 7,260円
サイズ S・M・L・LL
性別 両用

商品の特徴
フルオープン式のファスナー・股ファスナーを全面に配置しているため、寝たきりの状態でもオムツ交換や着替え、身体を拭くことが可能です。また、腕にファスナーを付けることで、袖を通さずに着脱ができます。背面には縫い目・継ぎ目がないため、床ずれの原因にもなる肌への刺激を軽減しており、利用者に優しいパジャマとなっています。

素材
綿100%

第4位 丸昌 制菌つなぎねまき

価格 5,080円
サイズ S・M・L・LL
性別 両用

商品の特徴
胸元から足首まで、1本のファスナーで開閉することができる上下一体タイプのパジャマです。淡い色合いで、先染め生地を使用することで色落ちや縮みの心配がなく、サイズ感も安定して使用することができます。洗濯機・脱水機・乾燥機全ての利用が可能なため、汚れてしまってもすぐに洗うことができます。

素材
制菌加工ポリエステル30%、綿70%

第3位 ハナサンテラス 裏ガーゼ付き ラウンジウェアー

価格 2,350円
サイズ フリー
性別 女性用

商品の特徴
綿100%で作られているラウンジウェアーで、着物タイプなので簡単に着脱ができます。入院中でも着用が可能ですし、色や柄も豊富です。袖は七分丈で、季節を問わず着用することができるため、季節によって使い分ける必要がありません。裏側はガーゼ素材のため通気性もよく、洗濯をしてもすぐに乾きます。

素材
綿100%

第2位 エンゼル ケアねまき メリヤスタイプ

価格 6,800円
サイズ S・M・L・LL
性別 両用

商品の特徴
柔らかいメリヤス地を使用し、縫い合わせが全て外側になるように作られたねまきです。そのため、肌が弱い方でも安心して着用することができます。着物タイプですが、胸元内側にはボタンも付いているため、寝ている間に胸元がはだけてしまう心配もなく、細かいところに気が配られている商品です。

素材
綿100%(スムース)

第1位 幸和製作所 テイコブエコノミー上下続き服

価格 7,480円
サイズ S・M・L・LL
性別 両用

商品の特徴
目を離した隙にパジャマを脱ごうとしてしまう方などにおすすめのパジャマで、1人では開けにくいタッチホクを採用しております。カラーバリエーションが豊富で6種類あり好きなデザインを選ぶことで気分よく過ごすことができます。綿100%で肌にも優しいため、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

素材
綿100%

着替え介助の基本

着脱時の注意点

着替え介助の着脱時は、要介護者の普段見られない身体状態を、確認することのできる機会になります。手足に麻痺がないか、座る・立つなどの動作に問題はないかなど、体調についてチェックをしながら介助を行いましょう。
また、着脱の際は、室温に気を配りましょう。特に冬などの寒い日や、入浴後などは温度変化を感じやすいため、できるだけ温度差がないようにすることが大切です。
要介護者が自ら服を着る場合には、袖部分をつまんで掴みやすくしたり、ボタンを開けておいたりと、パジャマを着やすくするようにしましょう。

肘や膝など関節を支えながら介助する

体に麻痺がある方の場合、手足を引っ張るように衣類を着脱すると、関節を痛めてしまう可能性があります。 着脱時の介助の際は、必ず関節を支えるように持ちながら行いましょう。
また、麻痺のある体の場合、身体を動かさずにいると関節が固まってしまう可能性があります。着替え時に、痛みのない範囲内で関節を動かしほぐしてあげると良いでしょう。

「脱健・着患」を守る

麻痺や痛みによって体を思うように動かせない方の動かしにくい部分を「患側」、動かすことのできる部分を「健側」といいます。「脱健・着患」とは、これにちなんで、〝脱ぐときは健側、着る時は患側から行うこと〟を指した言葉です。
この言葉を知ることにより、着るときには動かしにくい方から、脱ぐときは動かすことのできる方から、着脱を行うように意識することができます。

介助しすぎに注意

介護を行うことは問題ありませんが、必要以上に手助けをしないようにしましょう。
介護の世界では、「Quality of life」という言葉が使用されます。これは、「生活の質」を意味します。
人は、必ず年をとります。老いれば、物忘れが多くなったり、病気によって四肢の自由が利かなくなったりすることもあります。
できたものができなくなるのは、落ち込んで当然のことですが、では、どうすれば、心を豊かにすることができるでしょうか。
例えば、麻痺などがある方の場合でも、動かせる部分を動かすことにより、残された活用できる機能(残存機能)の低下を予防することができます。自分でできることを自分で行えば、〝心を豊かに〟、そして、「自立の促進」につなげることができます。この場合、できることをすることによってQOLは高くなり、結果的に介護者側の負担軽減にも繋がります。
もし、ここで周りの方がすべてサポートしてしまえば、「周囲に迷惑をかけた」と思い、QOLが下がる可能性があります。
要介護者への過度な介助が〝生活の質を高める〟とは限りません。
そのため、今、要介護者に必要なものは何か、そして、QOLを考えた上で、介助を行うようにしましょう。

まとめ

今回は、要介護者におすすめの介護用パジャマについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたか。

介護用パジャマは私たちの想像よりもたくさんの種類があり、どれを選んだらいいか迷ってしまうかもしれません。先を見越して購入するのではなく、現在の要介護者の状況や状態に合わせたパジャマを選ぶようにしましょう。体の機能をできるだけ低下させずに、介護を行うことが、要介護者・要介護ともに、生活の質を向上させる一歩に繋がると思います。

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