「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」は、「地域密着型特養」とも呼ばれており、地域密着型サービスの一つです。家族がいる住み慣れた地域の中で介護を受けることができ、 29人以下の小規模施設だからこそ、施設のスタッフや他の利用者と顔なじみになりやすいというメリットがあります。
今回は、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」の特徴や費用などについてご紹介させていただきます。

目次

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)とは

利用定員29人以下の小規模な介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で、「地域密着型施設サービス計画(利用者に提供するサービスの内容や目標などを定めたもの)」に基づいてサービスを提供する施設を、「地域密着型介護老人福祉施設」といいます。「地域密着型特別養護老人ホーム」とも呼ばれています。
「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」とは、「地域密着型介護老人福祉施設」の入所者に対し、食事・入浴・排泄等の介護、その他日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行うサービスのことです。

「地域密着型特養」には、以下の通り、3つの設置形態があります。

【単独型】
ほかの施設と連携することなく、「地域密着型介護老人福祉施設」単独で設置している形態。

【サテライト型】
定員30人以上の大規模な介護老人福祉施設を本体施設とし、その本体施設と密接な連携を維持しながら、別の場所で運営される地域密着型特別養護老人ホームを設置する形態。通常の交通手段を利用し、本体施設から概ね20分以内で移動できる範囲に置かれている。

【併設型】
小規模な介護老人福祉施設が、居宅サービス事業所や地域密着型サービス事業所に併設されている形態。短期入所サービスや小規模多機能型居宅介護サービスなど、他のサービスを同時に提供する。

「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」は、高齢者が要介護状態に
なっても、住み慣れた地域で生活が送れるよう支援するための、「地域密着型サービス」の一つです。中でも「サテライト型」は、家族や地域住民との交流が図りやすいため、特に地域密着型サービスの目標に合っているといっても良いでしょう。

さらに、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」の部屋は、次の3つのタイプに分けることができます。

【従来型個室】
1部屋(リビング併設なし)を1人で使用する。

【多床室】
1部屋を複数人(定員2人以上)で使用する。

【ユニット型】
食事や談話などで使用するリビングスペース(共用スペース)を囲むように、個室(1人1部屋)が配置されている「ユニット型個室」と、大部屋を、パーテーションなどの簡易的な壁(可動しないもの)で仕切って、個室的なしつらえになっている「ユニット型準個室」がある。

「ユニット型」は、施設のスタッフや他の入所者と交流できる共用スペースと、入所者のプライベート空間が確保できる個室で構成されており、自宅のような生活環境で、一人一人の個性や生活リズムに応じた、手厚い介護サービスが受けられるのが特徴となっています。

主な設備は以下の通りです。

・居室(ブザー又はこれに代わる設備を設ける)
・洗面設備(要介護者が使用するのに適してたもの)
・便所(要介護者が使用するのに適してたもの)
・浴室(要介護者が入浴するのに適したもの)
・医務室
・消火設備
・非常用設備
・共同生活室(ユニット型のみ)   など

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)の人員体制

「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」の人員体制は、以下の通りです。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の人員体制
医師 必要数
生活相談員 常勤で1人以上
看護または介護職員
※看護職員は、看護師または
准看護師
入所者3人あたり1人(常勤換算)
看護職員は、1人以上は常勤
介護職員のうち1人は常勤
栄養士 1人以上
機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
介護支援専門員 常勤で1人以上(兼務可)

ただし、サテライト型や併設型では、通常の特別養護老人ホームと同様、医師・生活相談員・栄養士・機能訓練指導員・介護支援専門員などを配置する義務がなく、職員基準が緩和されています。注意するようにしましょう。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)の対象者

「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」の対象となるのは、保険者となる市町村に住所のある方で、原則、要介護3以上とされています。
ただし、要介護1・2の方でもやむを得ない事由がある場合、特例的に入所が可能となっています。

【要介護1・2の特例的な入所が認められる要件(勘案事項)】
▶認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態。
▶知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態。
▶家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態で、在宅生活が困難な状態。
▶単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態。

≪出典≫厚生労働省 介護老人福祉施設(参考資料)H29.7.19

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)の費用

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)の費用の内訳は、「施設サービス費+居住費・食費+日常生活費等」となっています。

 ■施設サービス費

施設サービス費は、施設の形態や居室の種類、職員の配置などによって異なります。
ユニット型は手厚い介護が受けられる分、従来型個室や多床室に比べ、割高な傾向にあります。

以下は、1日あたりの基本料金(利用料)です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費(Ⅰ)
<従来型個室>
要介護1 567円
要介護2 636円
要介護3 706円
要介護4 776円
要介護5 843円
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費(Ⅱ)
<多床室>
要介護1 567円
要介護2 636円
要介護3 706円
要介護4 776円
要介護5 843円
ユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費(Ⅰ)
<ユニット型個室>
要介護1 646円
要介護2 714円
要介護3 787円
要介護4 857円
要介護5 925円

≪参考≫介護給付費単位数等サービスコード表(令和元年10月施行版)

上記は、1割負担の場合の費用です。自己負担額は、所得に応じて、2~3割負担になる場合もあります。

 ■居住費・食費

・居住費
従来型個室、ユニット型:室料、光熱費相当
多床室:光熱費相当

・食費
材料費、蝶理費

 ■日常生活費

・理美容代
・洗濯代    など

まとめ

今回は、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」についてお話させていただきましたが、いかがでしたか。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)」は、住み慣れた街で生活が
継続でき、なおかつ、家族が面会に行きやすいなどのメリットがあります。
部屋のタイプもいくつか種類があり、職員体制も施設の形態によって異なります。
場合によっては、入所待ちしなければならない場合もあるため、利用者の介護状態や希望に沿った施設を前もって準備しておくようにしましょう。

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