「ケアハウス(軽費老人ホーム)」は、身体機能の低下により一人暮らしに不安があるという方や、家族からの支援を受けるのが難しい方、身寄りがない方などが入居する高齢者向けの福祉施設です。個室でサポートを受けながら生活ができるにもかかわらず、比較的、月々の料金が安く設定されているため、低所得者でも入居しやすく、入居希望が多いのが特徴です。
今回は、「ケアハウス(軽費老人ホーム)」の入居条件や費用などについてご紹介させていただきます。

目次

ケアハウス(軽費老人ホーム)の特徴

「ケアハウス(軽費老人ホーム)」は、経済状況や家庭環境、身体状況等により、自宅での生活が不安、あるいは困難という方のために、食事の提供や安否確認といった生活支援を行う福祉施設です。自治体からの財政支援 (公的補助)により設立・運営されているため、所得や資産が少ない高齢者は過度な負担がなく生活を送ることができます。
身体機能の低下により一人暮らしが不安という方や、身寄りがない方、家族からの援助を受けられない方などを受け入れ、食事の提供、入浴の準備・介護、その他日常生活上必要な便宜、相談・援助、レクリエーション等のサービスを提供します。
食事は食堂で提供されますが、原則、居室は個室のため、入居者のプライベートにも配慮されています。施設によっては、夫婦で入居できる二人部屋が用意されているところもあります。
「ケアハウス(軽費老人ホーム)」は、身の回りのことはできるが生活に不安のある高齢者を対象とした「一般型(自立型)」と、介護が必要な方を対象とした「介護型(特定施設)」があります。

■「一般型(自立型)」
洗濯や掃除などの生活支援や、食事提供、緊急時の対応等を行います。介護サービスの提供はないため、万が一介護が必要な状況となった場合は、外部に委託することになります。

■「介護型(特定施設)」
介護保険法における「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設で、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどとほとんど変わりありません。24時間体制での介護と重度の介護にも対応可能です。
食事の提供や生活支援サービスはもちろん、介護スタッフによる、食事・入浴・排泄等の介護や、機能訓練、療養上の世話等のサービスの他、認知症や看取りを行っているところもあります。

軽費老人ホームには、「ケアハウス(軽費老人ホームC型)」の他に、食事の提供を行う「A型」と、原則自炊のできる人が対象の「B型」があります。
しかし、軽費老人ホームの設備や職員配置等には、拘束力のある基準がない状況となっていたため、併設されている3つの軽費老人ホームを「ケアハウス」に一本化し、人員・設備・運営等を含めた最低基準が定められました。これにより、「A型」・「B型」に関しては、2008年に新設が廃止され、現在、新設はケアハウスのみとなっており、A・B型は経過措置の扱いとなっています。

A型 食事の提供あり。介護が必要な高齢者は入居することができない。
B型 自炊が原則。介護が必要な場合は入居することができない。
ケアハウス
(軽費老人ホームC型)
一般型(自立型) 介護サービスは提供されないため、介護が必要となった際は外部の事業者に依頼。ただし、要介護度が高くなりすぎると「退居勧告」を受けることがある。
介護型(特定施設) 介護スタッフが常駐。食事や入浴の介護や生活支援、医療ケア、機能訓練等を実施する。

A型、B型ともに、身体機能の低下や家族の援助を受けられない、身寄りがないなど、日常生活を営むのに不安がある、60歳以上の高齢者が対象となっていますが、B型の場合は、さらに、自炊が可能な方が入居の条件となります。

都市型タイプのケアハウスも

上記の通り、軽費老人ホームの類型は、基本的にA型・B型・ケアハウス(C型)の3タイプがありますが、都市部では、基本の類型以外にも、「都市型」の軽費老人ホームの設置も進んでいます。
高齢者の人口が多く地価が高い都心部では、身寄りがなく、低所得の高齢者を受け入れる機能を持つ「軽費老人ホーム」は、どこもひっ迫した状況となっており、そのような高齢者の受け入れ先として機能しているとはいい難い状況となっていました。
このような背景から、都市部では、従来の軽費老人ホームで定められている居住面積や人員配置等の基準を緩和し、利用料金をさらに低額に抑え、入居者が20人以下の小規模な「都市型軽費老人ホーム」の設置を進めています。
「都市型軽費老人ホーム」は、高齢者の生活支援や安否確認など、基本的なサービスはもちろん、介護が必要であれば、外部に依頼することも可能です。

ケアハウス(軽費老人ホーム)の入居条件

軽費老人ホームの入居の対象となるのは、身体状況や経済状況などにより自宅での暮らしが不安な高齢者や、家族による援助を受けられない高齢者、身寄りがない高齢者などであり、具体的な条件については以下の通りになります。

ケアハウス(軽費老人ホームC型)

【一般型(自立型)】
身の回りのことができる、比較的元気で介護が不要な方、あるいは軽度の介護が必要な、60歳以上の高齢者。

【介護型(特定施設)】
要介護1~5の認定を受けた、65歳以上の高齢者。

「一般型(自立型)」と「介護型(特定施設)」は、どちらも、原則として施設のある地域に住んでいる人が優先となりますが、実際は、他の自治体の住民を受け入れているところも一定数います。

また、現在は経過措置の扱いとなっていますが、A型・B型の入居条件は以下の通りです。

ケアハウスA型・B型

【A型】
所得等の入居要件を設けている施設もある。

【B型】
自炊が可能な方。

軽費老人ホームの利用を希望する場合には、住まいのある市町村の担当窓口に問い合わせるか、利用したいと考えている施設に直接問い合わせをします。

ケアハウス(軽費老人ホーム)の費用

ケアハウス(軽費老人ホーム)の入居費用は、「①生活費」・「②事務費」・「③管理費」・「④その他の個人費用」の合計の金額になります。このうち、サービス提供費(生活費)は、利用者本人からの徴収と自治体からの事務費補助金で賄われることになります。

①生活費
食事サービスなどの経費。

②事務費(補助金)
入居者の前年度の所得によって助成される。施設経営にかかる人件費、運営費に相当する金額。
※事務費(補助金)は入居者の前年度の収入に応じた負担額となります。
「年収150万以下は月額1万円の補助」は全国一律ですが、それ以外の具体的な補助金額に関しては自治体ごとに異なります。各自治体や各施設のHPには、対象収入による階層区分ごとのサービスの提供に要する費用が掲載されているため、入居を考えている方は一度調べてみると良いでしょう。

③管理費
月々の家賃にあたる費用。入居時の敷金や入居一時金が発生する場合もある。

④その他の個人費用
各居室で使用される光熱費、娯楽費用など。

また、最近は、民間の企業が運営するケアハウスも増えてきています。
月々にかかる利用料も施設によって異なるため、具体的な金額を知りたい方は、一度問い合わせてみることをおすすめします。

ケアハウス(軽費老人ホーム)のメリット・デメリット

【メリット】
・月額費用が安く抑えられており、低所得者でも入居しやすい
・原則個室のため、個人のプライバシーを確保できる
・施設内で介護保険の在宅サービスを受けることができる
・食事や入浴サービス等があるため、規則正しい生活を送ることに繋がる

【デメリット】
・「一般型(自立型)」の場合、介護度が高くなると住み替えが必要
・低料金で利用できるなどの理由から、入居志望者が多数おり、入居までに時間がかかる
・居住空間が狭い

ケアハウス(軽費老人ホーム)の最大のメリットは、やはり利用料金が安いというところです。自治体の助成を受けられることから、比較的低価格で利用することができます。原則個室のため、入居者のプライベートな時間も確保できますし、食事や入浴の介護サービスを受けることで、規則正しい生活リズムを送ることができます。

ただし、「一般型(自立型)」の場合は、介護度が高くなると住み替えが必要となるケースもあります。入居を希望する方も多いため、入居までの待機期間が長いというのもデメリットです。
また、通常のケアハウスでは、居室スペースが21.6㎡以上と定められているのに対し、都市型のような小規模なケアハウスでは、居室スペースが7.43㎡以上となっているため、居住空間が狭いと感じる場合もあるようです。

軽費老人ホームでありながら〝軽費〟でない場合もある

軽費老人ホームは、〝経費〟というだけあって、費用が安いという印象を持たれる方は多いと思いますし、名前の通り、低料金で利用することができるというのが最大の特徴とされています。しかし、介護型の軽費老人ホームの場合、費用が割高になるケースもあります。
ケアハウスは、介護サービスとしては比較的古い部類で、その後、さまざまな施設やサービスがどんどん増えています。
もしも、日常生活を送ることに不安は感じているものの、基本的には身の回りのことは自分で行えるというのであれば、費用のことも考え、サービス付き高齢者住宅(サ高住)やグループホームなどを利用するというのも一つの選択肢です。
ケアハウスといっても、費用はピンキリです。各サービスのそれぞれの特徴を知り、いろんなものと比較しながら検討してみるのが良いでしょう。

まとめ

今回は、「ケアハウス(軽費老人ホーム)」についてお話させていただきましたが、いかがでしたか。
「ケアハウス(軽費老人ホーム)」は、自宅での生活や経済状況に不安を感じている方も利用しやすい施設となっています。
介護度が高く、医療的ケアが必要な方などは「介護型」、比較的自立に近い生活を送れる方は「一般型」と、今の自分の状態に合った施設を選べるようにしましょう。

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