「看護小規模多機能型居宅介護」とは、「小規模多機能型居宅介護」の〝通い〟〝訪問介護〟〝宿泊〟に〝訪問看護〟が加わった4つのサービスを提供し、医療的ケアが必要な高齢者の在宅生活を支えていく複合型サービスの一つです。名称の通り、「小規模」で行われるため、いつも顔なじみの職員から、必要な時に介護や看護ケアを受けることができます。

今回は、「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」のサービス内容や利用できる条件、費用などについてご紹介させていただきます。

目次

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)とは

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の特徴

「看護小規模多機能型居宅介護」は、「小規模多機能型居宅介護」の〝通い〟〝訪問介護〟〝宿泊〟と〝訪問看護〟を組み合わせた複合型サービスの一つです。看護を加えたことにより、「小規模多機能型居宅介護」では対応が難しかった、医療ニーズの高い利用者に対しても、看護と介護の連携でカバーできるようになりました。
医療的ケアが必要な高齢者が、可能な限り自立した在宅生活を継続していけるよう、〝通い〟〝訪問(介護・看護)〟〝宿泊〟のサービス形態は、「小規模多機能型居宅介護」と同様、一つの事業所から一体的に提供されています。緊急時対応も可能で、利用者の希望や状況に合わせて24時間365日を支援します。

一例
9/14(月) 訪問看護/通所/宿泊
9/15(火) 訪問看護/訪問介護/訪問看護
9/16(水) 訪問看護/通所/訪問看護
9/17(木) 訪問看護/訪問介護/訪問看護
9/18(金) 訪問看護/通所/宿泊
9/19(土) 訪問看護/訪問介護/訪問看護
9/20(日) 訪問看護/通所/訪問看護

このように、地域密着型サービスに含まれる「看護小規模多機能型居宅介護」は、一つの事業所に登録すれば複数のサービスを利用することができるため、いくつもの事業所に契約する必要がなくなります。

「看護小規模多機能型居宅介護」の目的

「看護小規模多機能型居宅介護」は、退院したばかりの在宅生活や、がん末期等の看取り期・病状不安定期における在宅生活の継続、住み慣れた家や地域での生活を可能な限り、続けていけるように支援すること、また、介護をしている家族が、一時的に介護から離れて休息をとってもらえるよう支援することを目的としています。

・退院直後の在宅生活へのスムーズな移行
・がん末期等の看取り期、病状不安定期における在宅生活の継続
・家族に対するレスパイトケア、相談対応による負担軽減

最初にお伝えした通り、「小規模多機能型居宅介護」に「看護」が加わった「看護小規模多機能型居宅介護」は、医療ニーズが高い利用者が、介護サービスと看護ケアを一体的に受けることができます。

「看護小規模多機能型居宅介護」のサービス

・通いサービス:時間、曜日(回数)制限なし
利用者が施設に通い、スタッフから、必要な看護・介護サービスを受ける。

・訪問サービス:回数・時間・内容制限なし
自宅に訪問してきた専門のスタッフから、必要な看護・介護サービスを受ける。

・宿泊サービス:急な利用も可能
利用者が施設に短期間入所し、スタッフから、必要な看護・介護サービスを受ける。

【介護サービスの主な内容】
▪食事、入浴、排泄の介護
▪その他日常生活上の支援
▪健康管理
▪生活や介護に関する相談の対応と助言
▪機能訓練  など

「看護小規模多機能型居宅介護」では、医師の指示のもと、下記の医療処置等を看護職員から受けることができます。小規模多機能型居宅介護では難しかった認知症や看取りの対応も可能です。

  • 胃ろう、人工肛門(ストーマ)、膀胱留置カテーテルなどカテーテル類の交換、インスリン注射、在宅酸素、人工呼吸器、吸引、中心静脈栄養管理、褥瘡(床ずれ)の処置。
  • 移乗・移動のリハビリ、歩行のリハビリ、嚥下のリハビリ
  • 認知症症状の看護・相談
  • 末期がんなど終末期の苦痛の緩和・看取り 他
    ※すべての医療処置等は、医師の指示書に基づいて、看護職員が行う。

以前は、「複合型サービス」という名称で呼ばれていましたが、提供するサービス内容のイメージがしにくいという指摘があったことから、平成27年度の介護報酬改定に伴い、「看護小規模多機能型居宅介護」に名称が変更されました。

「看護小規模多機能型居宅介護」の職員体制

職種 資格要件・配置基準等
サービス提供従業者 【日中】
・通いサービス提供者:利用者3人につき1人以上(常勤換算)
・訪問サービス提供者:2人以上(常勤換算)
・通いサービスおよび訪問サービス提供のうち、それぞれ1人以上は保健師、看護師又は准看護師

【夜間・深夜】
・宿泊サービスおよび訪問サービス提供:2人以上(うち1人は宿直勤務が可能)
・宿直(「事業所に宿泊して行う定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態の発生に対処するための準備などを目的とする勤務」)にあたる者は、認知症対応型サービス事業管理者研修)を修了した者、あるいは保健師か看護師で、1人以上。

・従業者のうち、1人以上は常勤の看護師または保健師
・従業者のうち、2.5人以上は保健師、看護職員(看護師または准看護)
介護支援専門員 専従(支障がなければ兼務可)
管理者 事業所などで3年以上認知症ケアに従事した経験があり、認知症対応型サービス事業開設者研修を修了した者、または、保健師あるいは看護師
代表者 事業所などで認知症ケアに従事した経験した者。または、保健医療サービスもしくは福祉サービスの経営に携わった経験があり、認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した者。または、保健師あるいは看護師

「看護小規模多機能型居宅介護」の設備や備品等は、小規模多機能型とほとんど変わりはありません。
ただし、人員配置に関しては、小規模多機能型居宅介護とは異なり、手厚い看護職員の配置が義務付けられています。
利用者はいつでも看護ケアを受けられるようになるため、安心して在宅生活を続けることができるようになっています。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の対象者・利用方法

「看護小規模多機能型居宅介護」の対象者は、

  • 要介護1~5の認定を受けた方
  • 事業所がある地域に住所がある方

に限られています。

「看護小規模多機能型居宅介護」は、末期がんなどで終末期を迎えている方や、認知症の方など、比較的医療ニーズの高い方の利用にも適しています。

「看護小規模多機能型居宅介護」の利用を希望する場合には、まずは担当のケアマネジャーに相談するようにしましょう。利用したい事業所がみつかり次第、登録人数に空きがあれば、その事業所と契約することになります。
(契約後は、契約した事業所に所属しているケアマネジャーに担当が変わります。)

一つの事業所に登録できる人数は29人以下と定められており、登録人数に空きがなければ、その事業所を利用することはできません。
また、1日ごとの利用定員も決まっており、

  • 「通いサービス」を利用できる方は、1日18人まで
  • 「宿泊サービス」を利用できる方は、9人まで

となっています。

「看護小規模多機能型居宅介護」では、各サービス(通い・訪問・宿泊)の利用回数や時間等に制限はないため、1日の利用定員に空きがあれば、必要になった時にいつでもサービスを利用することができるようになっています。もちろん、突然の利用も可能です。

ただし、「看護小規模多機能型居宅介護」は、自宅での生活を支援することが目的のサービスであるため、登録している利用者が適切にサービスを受けられるようにする必要があります。
そのため、事業所は、一部の利用者が過剰にサービスを利用することで、登録している他の利用者が必要なサービスを受けられなくなってしまうことがないよう、利用回数の調整を行うことが、法令上定められています。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の費用

「看護小規模多機能型居宅介護」は、1ヶ月ごとの定額制となります。ただし、宿泊費、食事代、おやつ代、おむつ代等は別途必要(自己負担)です。宿泊の回数が多い分、費用がかさんでしまうため、注意するようにしてください。

「看護小規模多機能型居宅介護」の1月あたりの基本料金(1割の場合)
  同一建物に居住していない場合 同一建物に居住している場合
要介護1 12,401円 11,173円
要介護2 17,352円 15,634円
要介護3 24,392円 21,977円
要介護4 27,665円 24,926円
要介護5 31,293円 28,195円

≪参考≫介護給付費単位数等サービスコード表(令和元年10月施行版)より

上記の費用は、同一建物(※)に居住する者以外の者に対して行う場合とそうでない場合の基本料金(1ヶ月)となります。事業所が所在している地域やサービス内容等に応じて利用料は異なるため、具体的な料金については、担当のケアマネジャーや市区町村の窓口、地域包括支援センター等に相談するようにしましょう。

※当該小規模多機能型居宅介護事業所と構造上又は外形上、一体的な建築物を指す。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)のメリット・デメリット

メリット

  • 医療ニーズの高い方への対応が可能
    「看護小規模多機能型居宅介護」では、看護師を中心としたトータルケアが提供されるため、退院後の在宅生活など医療ニーズの高い高齢者が、介護サービスと看護サービスを一体的に受けることができます。
  • 一つの事業所で複数のサービス組み合わせが可能
    通い・訪問・宿泊・看護の4つのサービスを、利用者の希望や状況に応じて組み合わせ、利用することができるため、一つの事業所で、効率的に必要なサービスを受けることができます。
    また、サービスごとにそれぞれ異なる事業所と契約する必要がないため、契約の手続きの手間を省くことができ、サービスを利用する度に別々の事業所に依頼する必要もありません。
  • 費用が定額制のため、利用時間や回数が増えても安心
    費用が月額料金で定額制のため、サービスの利用時間や回数が増えても安心してサービスを受けることができます。
    ※宿泊費は基本料金に含まれていないため注意。
  • どのサービスを利用しても、顔なじみの職員が対応
    一つの事業所でサービスを提供するため、どのサービスを利用しても顔なじみのスタッフが対応してくれることから、特に環境の変化に敏感な認知症の方も安心して利用できる他、スタッフ側も利用者の体調の変化に気付きやすくなったり、薬が管理しやすくなったりします。
    また、少人数制であるため、利用者一人一人の状況に合わせたきめ細かい対応も可能となっています。
  • 自宅で最期を迎えたい方もサービス利用可能
    看護師でなければ対応できないケアを受けられること、また、緊急時の対応が可能であることから、終末期を自宅で過ごしたい高齢者も安心して在宅生活を送ることができます。

デメリット

  • 登録人数や一日に利用できる人数に制限
    登録人数や一日に利用できる人数に制限があるため、自分が希望したいタイミングで必要なサービスを利用できない場合があります。
  • サービスごとに施設の選択は不可
    一つの事業所ですべてのサービスを提供するため、一部のサービスに不満を持っていても、そのサービスを利用する時だけ事業所を変えるということはできません。
  • 少数制のため、スタッフとの相性が悪いと継続しての利用は困難
    少人数制でスタッフや他の利用者と顔なじみになりやすい分、相性が悪い方がいると、継続してサービスを利用することが難しくなることがあります。
  • 「小規模多機能型居宅介護」、「訪問看護」と比較すると利用料が高め
    「看護小規模多機能型居宅介護」は、「小規模多機能型居宅介護」や「訪問看護」と比べると利用料が高めに設定されているため、利用者の状態やサービスの利用状況によっては、「小規模多機能型居宅介護」や「訪問看護」を利用したほうが費用を抑えられる場合もあります。

まとめ

今回は、「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」についてお話させていただきましたが、いかがでしたか。

「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」では、看護師が手厚く配置されています。利用者の在宅生活継続の支援や、「住み慣れた地域や自宅で最期を迎えたい」と希望する利用者の看取りケアも対応できるため、医療ニーズが高い高齢者でも安心して利用することができます。

facebook
twitter
line