地域密着型通所介護とは、18人以下の利用者数で、市区町村内の需要に応じて提供されているデイサービスのことです。この介護サービスは、利用者が少ない分、一人一人の状況に合わせた手厚い介護を受けることができ、スタッフや他の利用者と顔なじみになりやすいというメリットがあります。
今回は、地域密着型通所介護が利用できる条件や、費用などについてご紹介します。

目次

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)とは

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の概要

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)は、利用者が、利用定員18人以下の小規模のデイサービスセンターなどに通い、食事や入浴、排泄などの介助、その他の必要な日常生活上の支援、生活機能訓練、レクリエーション等を受けることができる、日帰りの介護サービスです。利用者が、可能な限り自立した居宅生活を送ることができるよう支援することで、社会的孤立感の解消や、介護している家族の心身の負担軽減を図ります。
また、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)には、小規模であることから、利用者一人一人のニーズに合わせた手厚い介護が受けられることや、顔なじみの職員や他の利用者と、家庭的雰囲気の中で生活することができるなどのメリットがあります。

■地域密着型通所介護(小規模デイサービス)で受けられる主なサービス

・食事介助
・入浴介助
・排泄介助
・レクリエーション
・機能訓練
・健康チェック(体温・血圧の測定など)
・送迎 など

通所介護(デイサービス)を提供する事業所は、もともと、前年度の1ヶ月あたりの利用者数に応じて、「大規模型」、「通常型」、「小規模型」の3つに区分されていました。しかし、2014年の介護保険法改正(2016年4月施行)により、従来の通所介護事業所の区分のうち、利用定員18人以下の「小規模型」は、少人数で生活圏域に密着したサービスであることを踏まえ、「地域密着型サービス」に移行しました。「地域密着型サービス」は、要介護状態になった方も、住み慣れた地域や自宅での生活ができる限り続くよう支援することを目的としたサービス群のことで、「地域密着型通所介護」の他に、「夜間対応型訪問介護」や、「看護小規模多機能型居宅介護」などが含まれています。

それまで都道府県の管轄だった小規模デイサービスは、介護保険法改正以降、市町村の管轄に変わったことで、事業所が所在する市町村に、指定・指導・監督の権限が移行し、各市町村が独自に運営基準等を設けることが可能となりました。(事業所の規模が「通常型」以上の通所介護(デイサービス)は、今まで通り、都道府県の管轄で運営されます。
「地域密着型サービス」への移行、つまり市町村管轄とした背景には、大規模型の通所介護事業所と利用者の増加によって、介護保険財政を圧迫したことが関係していると言われています。
「地域密着型通所介護」は、地域との連携をより強め、経営の安定性や運営の透明性を確保し、サービスの改善及び質の向上を図ることを目的としています。

療養通所介護とは

常時看護師による観察が必要な難病等による重度要介護者や、がん末期患者などを対象とするデイサービスです。平成30年度より、定員が9人から18人へ拡大、地域密着型通所介護の一つとなりました。
医療ケアを必要とする利用者が、可能な限り在宅での生活を送り続けることができるよう、社会的孤立感の解消や、心身機能の維持を図ります。
また、利用者家族の身体的・精神的な不安の軽減も目的としています。
サービスは、医師や訪問看護ステーションと連携して提供されます。

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の対象者

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)は、誰でも利用できるというわけではありません。
最初の項目でもご説明した通り、「地域密着型通所介護(小規模デイサービス)」は、「地域密着型サービス」に含まれています。「地域密着型サービス」は、介護を必要とする高齢者が、住み慣れた地域や自宅での生活を可能な限り継続できるよう、身近な日常生活圏域ごとにサービスの拠点をつくり支援するサービスであることから、原則として、サービス事業者と同一の市町村に住民票がある方しか、その事業所を利用することができません。
また、対象者は、要介護認定により、要介護1~5の認定を受けている方に限られます。
そのため、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)は、要介護1以上の認定を受けており、サービスを提供する事業者と同じ市町村に居住している方が利用条件となります。

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の費用

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)を利用する際の1回あたりの基本料金は、以下の表の通りになります(費用は原則1割負担)。ただし、一定以上の所得がある方は、利用者負担割合が2~3割となる場合があります。

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の利用料
3時間以上4時間未満 要介護1 409円
要介護2 469円
要介護3 530円
要介護4 589円
要介護5 651円
4時間以上5時間未満 要介護1 428円
要介護2 491円
要介護3 555円
要介護4 617円
要介護5 682円
5時間以上6時間未満 要介護1 645円
要介護2 761円
要介護3 879円
要介護4 995円
要介護5 1,113円
6時間以上7時間未満 要介護1 666円
要介護2 786円
要介護3 908円
要介護4 1,029円
要介護5 1,150円
7時間以上8時間未満 要介護1 739円
要介護2 873円
要介護3 1,012円
要介護4 1,150円
要介護5 1,288円
8時間以上9時間未満 要介護1 768円
要介護2 908円
要介護3 1,052円
要介護4 1,197円
要介護5 1,339円

※1回ごとの基本料金
※1割負担の場合
≪参考≫介護給付費単位数等サービスコード表(令和元年10月施行版)より

上記の基本料金には、送迎にかかる費用も含まれていますが、食費やおやつ代、おむつ代といった日常生活費などは、別途負担する必要があります。
また、「入浴介助加算」や「個別機能訓練加算」、「口腔機能向上加算」など、別途加算される介護保険サービ
スもあります。
サービス提供事業所の所在地やサービス提供体制等によっても異なってくるため、詳しい費用に関しては、市区町村の相談窓口や地域包括支援センターに問い合わせするか、担当のケアマネジャーに相談するようにしましょう。

その他の地域密着型サービスの通所介護

地域密着型サービスに含まれる通所介護(デイサービス)は、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の他に、認知症を対象とした「認知症対応型通所介護」があります。

【認知症対応型通所介護】
認知症と診断された方のみを対象とした、定員12人以下の小規模デイサービスです。「認知症デイサービス」とも呼ばれています。
少人数のため、認知症の方一人一人の状況に合わせた専門的なケアを行うことができ、家庭的な環境の中で生活することができます。
引きこもりがちになりやすい認知症の方が、可能な限り自宅で自立した生活を送ることができるよう、社会的孤立感の低減と、心身機能の維持・向上・回復を目的としています。介護者の負担軽減にも繋がります。

まとめ

今回は、「地域密着型通所介護(小規模デイサービス)」についてお話させていただきましたが、いかがでしたか。

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)は、サービスを提供する事業者と同じ市区町村に住民票がある、要介護1以上の認定を受けた方が対象となります。
小規模であるため、利用者とスタッフとの距離が近く、個人に合わせた対応が可能であることや、日常生活上の支援を受けながら、心身機能の維持・向上を図るための、専門的な機能訓練やレクリエーション等を行うことができます。
住み慣れた自宅での生活を続けながら、通いで介護サービスを受けたいという方は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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