若い頃に比べて体が思い通りに動かず、「買い物の際、徒歩で荷物を持ち帰る自信が無い」「最近、歩くのが大変で外出が減っている」といった悩みが、加齢とともに増えてきてはいませんか。そんな時は、歩く支えや荷物運びに便利なシルバーカーがおすすめです。
最近では、シルバーカーを使用することへの恥ずかしさからくる抵抗感が薄れるほど、シンプルなものからお洒落なものまで、幅広いニーズに対応したシルバーカーが販売されています。
今回は、シルバーカーの選び方や初めて購入する方にもおすすめしたい商品など、詳しくご紹介していきたいと思います。

目次

シルバーカー(老人用手押し車)とは

シルバーカーとは

シルバーカーは、自力で歩行することに問題はないけれど、足腰に自信がなく、膝・腰などに疲れを感じることの多い高齢者が使用する、手押し車です。使用することで歩行を助けるだけではなく、外出先で荷物を入れたり、疲れた時に座ったりと、様々な場面で役立ちます。
年齢を重ねていくと歩くことを大変に感じ、少しずつ外出の機会も減ってしまいます。「買い物に行っても荷物が多くなり、持って帰れなくなってしまう」「外出中疲れてもなかなか休める場所がなく、体調を崩してしまう」など、日常生活に支障をきたすようになっていきます。
歩くことは、筋力維持・血流の循環を促す・代謝機能の低下を抑える・ストレス解消・認知症の予防など、私たちの身体に様々な良い影響を与えてくれます。身体の健康の事を考え、少しでも歩くことから離れないためには、シルバーカーの使用がおすすめです。

シルバーカーを使用すると、今までよりも歩きやすくなります。
また、買い物用のカートとして使用することができるため、荷物が少し増えても簡単に持ち帰ることができますし、外出中に休憩をしたいと感じたら、椅子として使用することもできます。タイプによっては、安心して休むことができる、安全性に配慮されたブレーキ付き車輪のシルバーカーもあります。
最近、販売されているものは、デザインやカラーバリエーションが豊富なものもあり、お洒落の一部として使用することもできるため、シルバーカーに地味なイメージを持ち、使用に抵抗を感じている方にもおすすめです。男性向けのシルバーカーもあり、サイズ展開も豊富なため、自分の目的に合ったシルバーカーを見つけられるでしょう。

歩行器、歩行車、ショッピングカーとの違い

次に、シルバーカーと類似している、歩行器・歩行車・ショッピングカートについてご説明したいと思います。

1.歩行器
一人で歩くことが困難な方を補助するための器具で、シルバーカーを使用する方よりも、歩行能力の低い方が使用します。
歩行器はハンドルがコの字型になっており、体を中に入れるように歩くことで、歩行器を持つ手の位置が体と近くなり、歩く際の足にかかる体重などの負担を軽減することができます。
また、前傾姿勢になりにくくなるため、背筋をきちんと伸ばしたまま歩くことが可能です。杖や歩行車と比べると安定性に優れており、屋内で使用したいという場合には、歩行器の使用がおすすめです。さらに、歩行器は介護保険が適用されるのも大きな特徴です。

2.歩行車
歩行車は歩行器と同様にコの字型になっていますが、ハンドルとブレーキが付いています。そのため、体を預けたまま移動を行うことができます。
また、タイヤが付いているため、外出時などに使用したいという方におすすめです。

3.ショッピングカート
このショッピングカートは、カバンにタイヤが付いており、中に買い物したものを入れ、キャリーバックのように運ぶことができます。スーパーで買い物をする際に使用するショッピングカートのことではありません。
ショッピングカートを使用すれば、買い物をしすぎて荷物が重くなってしまった時でも、カバンに入れて押しながら帰ることで、簡単に持ち帰ることができます。
こちらは、荷物を楽に運ぶためのアイテムのため、歩くことに問題のない方が使用可能です。

シルバーカー(老人用手押し車)を選ぶおすすめのポイント

自分に合うタイプを選ぶ

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シルバーカーには、様々なタイプがあります。タイプによって長所や短所は異なり、自分の使用目的に合わせて選び、使用時のストレスを減らしましょう。

【コンパクトタイプ】
コンパクトタイプのシルバーカーは、シルバーカーの中で最も小さいサイズで軽量化されており、持ち運びも楽に行えます。
バスや電車など、公共交通機関を使用して移動することの多い方は、乗り降りが簡単にできますし、車に積む時も場所をあまりとりません。コンパクトで扱いやすく、狭い道でも簡単に進むことができます。椅子の役割がメインではないため、座面は狭いと感じるものが多いですが、座ることは可能です。
持ち運びやすさをメインに作られているため、収納量はあまり多くありません。荷物をたくさん入れることは難しく、軽量化されている分、他のタイプに比べると少し安定性に欠けます。

【ミドルタイプ】
コンパクトタイプよりも少し大きく、ボックスタイプより少し小さい、中間サイズのシルバーカーです。
コンパクトタイプの収納力が足りないと感じている方には、適度な収納力がおすすめです。
買い物中、荷物が増えてしまっても、コンパクトタイプよりも収納力があるため、しっかりと収納することができます。買い物はもちろん、散歩でも使用できる万能なサイズです。ミドルタイプは種類が多く、デザインや機能など様々な面で選択肢があります。
ただし、ミドルタイプは、コンパクトタイプよりも重さと大きさがあるため、公共交通機関を日常的に使用している方は、バスや電車などの乗り降りで、荷物の入ったシルバーカーを持ち上げる際に、不便に感じることがあるかもしれません。

【ボックスタイプ】
ボックスタイプはミドルタイプよりも大きく、収納力と安定感が優れているシルバーカーです。
座面は、コンパクトタイプやミドルタイプに比べると広く、座り心地が良いため、普通の椅子と同様の安定感があります。また、座面が広い分、収納も大容量で、買い物をたくさんしても問題なく収納できます。
本体が大きく重さもあり、持ち運びが大変なため、公共交通機関を利用せずに外出する方に人気です。
しかし、狭い場所では邪魔になりやすいため、使用場所に注意が必要です。

【ワゴンタイプ】
比較的、幅広い年齢層の方に使用されているのが、ワゴンタイプのシルバーカーです。見た目はシルバーカーというよりも、スーパーなどに置かれているショッピングカートに近く、大容量の収納が可能です。
また、ショッピングカートのようにアルミのフレームでできていること多いため、園芸用品や工具なども汚れを気にすることなく運ぶことができる、利便性の高いところもポイントです。
ワゴンタイプは荷物を収納することに特化しており、座面のないものもあります。座ることも考えている方は、購入前に確認をしましょう。

キャスターについて

シルバーカーを選ぶ際には、キャスターの種類や可動機能を確認しておくようにしましょう。

キャスターの種類
最初に、シングルキャスターとダブルキャスターの2種類のキャスターについてご説明いたします。
前輪が一輪ずつになっているものがシングルキャスター、前輪が並列で二輪ずつになっているものはダブルキャスターといいます。コンパクトタイプのシルバーカーはシングルキャスター、それ以外のシルバーカーはダブルキャスターが主流となっています。
シングルキャスターはタイヤが少ない分、軽量なので、持ち運びをしたい方におすすめです。
ダブルキャスターはタイヤが二つに増えるため、キャスター自体の幅が広がり、安定感があるとされています。側溝などの隙間にも挟まりにくいため、安全面を気にされる方におすすめです。

キャスターの可動機能
次に、キャスターの可動機能についてご説明いたします。キャスターの可動機能は3種類あり、直進固定・2WAY・3WAYと分かれています。3種類ある可動機能の可動範囲はそれぞれ異なり、基本的に2WAY・3WAY は、可動範囲をボタンやつまみで切り替えることができます。

▶直進固定→直進固定のみ
▶2WAY→直進固定・左右に決められた角度まで回転
▶3WAY→直進固定・左右に決められた角度まで回転・360°回転

直進固定は、名前の通り直進の移動のみができるものです。前輪のキャスターが完全に固定されているため、歩行は安定しやすくなります。自分が向きを変えても勝手にシルバーカーが曲がってしまうこともないですし、雨など路面が滑りやすい場所でも、安定して進むことができます。
左右決められた角度まで回転できるものは、左右45~120°が多く、あらかじめ任意の角度まで回転するように固定されています。
方向転換がしやすく、必要以上に曲がり過ぎてしまうこともないため、自然に移動ができます。
360°回転は、名前の通りキャスターが360°回転します。小回りがきくため、屋内など狭い場所でも簡単に移動することができます。狭い場所で簡単に方向転換をしたい場合におすすめです。

ハンドル・ブレーキを確認する

シルバーカーを選ぶ際には、〝ハンドルの高さ調節〟や〝ブレーキのかけ方〟についても確認しておきましょう。

ハンドル
基本的に現在市販されているシルバーカーのほとんどは、ハンドルの高さを調節することができます。ハンドルの高さは、高すぎると
腕が疲れてしまい、肩こりや疲労の原因にもなります。低すぎると腰に負担がかかってしまい、目線が下がることで視野も狭くなります。
高さが合っていないシルバーカーは姿勢が悪くなるため、ブレーキが遅れたり、バランスを崩して転んだりする可能性があります。
シルバーカーを正しい姿勢で使用する為には、身体に負担がかからない・体重がかかりすぎない高さにハンドルを調節すること必要です。
理想的なハンドルの高さは、「身長÷2+5~15cm」とされており、例えば、身長155cmの方であれば、82.5~92.5cmになります。10cmほど差はありますが、使用している中で自分に合った高さを見つけていくことで解決します。ハンドルを握ることのできる高さは、肘を45°程度に曲げた状態が目安となります。

・ブレーキ
シルバーカーをできるだけ安全に使用するために大切なのが、ブレーキです。
ハンドルがコの字型になっているグリップタイプは、左右の両端にブレーキが付いており、自転車と同じようなブレーキになっています。
キャリーバッグの持ち手のようになっているバーハンドルタイプは、ハンドルの真ん中部分にブレーキが付いています。使いやすさは個人差がありますので、自分が扱いやすいブレーキを選びましょう。
シルバーカーは、下り坂で使用する際に、ブレーキをかけながら下ることで速度の調節ができます。ブレーキは急にかかるものよりも、ゆっくりかかるものの方が安全です。
駐車ブレーキは、手で操作するタイプと足で操作するタイプの二種類があります。どちらを選ぶかは自分の好みで構いません。ただし、足で操作するタイプは片足立ちになるため、バランスを崩しやすい方は、手で操作する駐車ブレーキの方がおすすめです。

便利な機能

Yellow curb stone border in an old town road

シルバーカーには、様々な機能があります。その中で、自分で使用する際にあったらいい機能、また今まで使用していたシルバーカーにはなかった機能を確認しましょう。

・折りたたみ式
シルバーカーは外出の際に使用する為、普段はいつでも使えるように玄関に置いておくことになると思います。その際、広げたまま置いておくと、邪魔に感じることがあります。
そのような時、折りたたみのできるシルバーカーは、収納時のスペースを最小限に抑えてくれます。収納をしておきたい場所のスペースとシルバーカーのサイズを確認すれば、場所をとらずに収納することができます。
また、立てたままシルバーカーを収納したいと考えている方には、折りたたまれた状態で自立するものが良いでしょう。
先程、お話した通り、折りたたみができるシルバーカーは、収納時に場所をとらないため、車はもちろん、バスや電車など、日頃から公共交通機関を利用する方にもおすすめです。

・乗り越え機能
シルバーカーを出先で使用した際、道路の段差や縁石に引っ掛かって前に進めなくなってしまうことがあります。
このような場合、乗越え機能付きのシルバーカーが役に立ちます。乗り越え機能は主に前輪についており、段差や縁石でわざわざシルバーカーを持ち上げる必要もなく、簡単に段差や縁石を越えることができます。乗り越え機能がついていれば、一度シルバーカーを持ち上げて体勢を立て直す必要もなくなります。
荷物をたくさん積んでいて持ち上げるのが大変な時や、腕の力が弱いという方におすすめです。

・座面の安定性
シルバーカーは、荷物を収納して運ぶことはもちろんですが、収納部分が椅子になるものもあります。バス停の待ち時間等で利用している方も多く、少しだけ休憩をしたい時にも便利です。
シルバーカーによっては、収納部分が座れないようになっている場合もあるため、座れるか座れないかをしっかりと確認しておきましょう。
移動距離が長い方、たくさんの荷物を入れて持ち運ぶという方の場合は、座る頻度が高くなると思います。シルバーカーは、座ることをメインに作られたものではないため、座面に安定性があるかどうか確認しておくようにしましょう。

・収納部分の機能
シルバーカーは歩行を助けるだけではなく、荷物を収納し簡単に運ぶことができます。そのため、収納部分の機能が充実していると、その分利用しやすくなります。
皆さんの中には、シルバーカーで買い物に行った際、邪魔になるからといってお店の前にシルバーカーを置いておくことや、購入したものをシルバーカーへ移動させることに不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
シルバーカーによっては、収納部分の上に買い物かごを載せてショッピングカートの代わりとして使用できるものがあります。シルバーカーにカゴを載せたまま移動しても落ちないようにストッパーが付いているものや、カゴを固定するためのバンドがついているものも販売されているため、購入する前に確認しておきましょう。
また、収納部分に保冷機能がついているシルバーカーも販売されています。日頃から、生ものや冷凍食品などの食料品を買いに行くことが多い方におすすめです。

安全性の高いシルバーカー

シルバーカーには、一般財団法人製品安全協会が定めている、安全基準をクリアした製品にのみ付与されるマーク「SGマーク」を、取得しているものがあります。SGマークの付いたシルバーカーは、一定の基準をクリアしており、安心して使用することができます。最近、安全検査が行われていない海外製品も販売されているため、購入前には必ず確認をしましょう。
また、シルバーカーによっては、本体に反射板付のものが販売されています。暗い場所でも目立ちやすく、夜間に外出することのある方は、反射板付のシルバーカーもおすすめです。

シルバーカー(老人用手押し車)のおすすめ人気ランキング10選

第10位 象印ベビー キュートミニW

価格 27,500円
重量 約3.9kg
カラー 2色

商品の特徴
名前の通り、可愛くコンパクトなところが人気のシルバーカーです。派手なデザインは、周りのシルバーカーと間違える心配もありません。
また、高さ調整は5段階もあり、様々な身長の方でもちょうどいい高さに合わせることができるはずです。ワンタッチで折りたたむことができるところも、女性に人気のシルバーカーです。

第9位 象印ベビー サンホリディU248

価格 34,100円
重量 約7.7kg
カラー 4色

商品の特徴
ハンドルの高さ調整はワンタッチで簡単に行うことができ、柔らかく持ちやすい素材です。座面は本格的で、肘カバーも付いています。後部のポーチや、傘・杖立て付き、さらに折りたたみも可能で収納面も心配がいりません。SGマークを取得済で安全面も安心して使用することができるシルバーカーになります。

第8位 象印ベビー ライトステップタイニーWヌーボーレガロ

価格 41,800円
重量 約4㎏
カラー 2色

商品の特徴
高級感を感じることのできる、ジャガード織りのシルバーカーです。シルクのように光沢感のある糸を使用し、デザインに徹底的にこだわって作られています。フレーム・ホイールの色はバッグ部分と同系色にし、全体の
バランスもしっかりととることができています。クッション材を使用している握りやすいハンドルで、疲れにくさを感じることができます。

第7位 島製作所 マーチS

価格 23,100円
重量 約7.5kg
カラー 2色

商品の特徴
高さ調整は84~93cmまでの4段階に分かれており、身長に合わせて調整しやすくなっています。2WAYキャスターで最大120°までの方向転換が可能です。座面の下と後部の二か所に収納場所があるため、すぐに必要なものと、買い物したものとで分けて入れておくこともできます。
ただし、折りたたみ状態では、自立はしないので注意が必要です。

第6位 島製作所 ハーモニーAL

価格 24,200円
重量 約5.2kg
カラー 1色

商品の特徴
高さ調整は3段階で、約83~91cmの中で約4cmごとに調節が可能です。駐車用ロックも付いているため、ゆるやかな坂で止まっている時に、急に動き出してしまう心配もありません。ショッピングカートのようなアルミフレームのため、シルバーカートは恥ずかしいと思っている方でも使用できます。強度もあり安心のカートです。

第5位 幸和製作所 シルバーカー シプール SICP02

価格 19,580円
重量 約3.8kg
カラー 3色

商品の特徴
バッグや座面の生地に合わせてフレームとホイールを作られており、シルバーカーに抵抗を感じている方でも、おしゃれに使用することができます。
左右連動式のブレーキによって、片手でブレーキを握っても、両方のタイヤにしっかりとブレーキがかかります。押し手側にはバッグも付いているため、必要なものの出し入れも簡単に行えます。

第4位 島製作所 サニーウォーカー AW-III

価格 21,780円
重量 約4.3kg
カラー 4色

商品の特徴
2WAYブレーキシステムを採用しているシルバーカーで、上に引くと通常のブレーキ、下に押すことで駐車ブレーキの役割をしています。傘や杖を置くことのできるホルダーまで付いているため、雨の降りそうな日の外出でも楽にできます。折りたたむ際にはワンタッチで行えるため、力の弱い方でも簡単に折りたたむことができます。

第3位 ユーバ産業 ワイヤーカート スワレル AS-0275

価格 17,000円
重量 約5.8kg
カラー 5色

商品の特徴
ショッピングカートとして、使用することのできるカートで、スーパーなどのカゴを載せても、カゴホルダーがしっかりと押さえてカゴを固定してくれます。
アルミ製のワイヤーカートですが、座ることもできるため、買い物で疲れてしまったら近くの公園で休憩をすることもできます。折りたたみ自立式なので、収納も場所を取りません。

第2位 幸和製作所 テイコブ ST07

価格 28,050円
重量 約5.7kg
カラー 1色

商品の特徴
座面の下に収納スペースがたくさんあるため、買い物でたくさん買いすぎても、収納して楽に持って帰ることができます。また、座面は深く座ることができるよう、320mmの奥行きがあります。シングルキャスターですが、キャスターの幅が通常よりも広めにできているため、溝などにはまりにくくできています。

第1位 幸和製作所 テイコブ シルバーカー ルミドSIMD02

価格 20,680円
重量 約4.0kg
カラー 3色

商品の特徴
本体幅が約43cmととてもスリムなシルバーカーのため、狭い道はもちろん、スーパーでも問題なく進むことができます。足元にあるストッパーで、駐車ブレーキをかけることもできるため、目を離した隙に下り坂で進んでいたなんてこともありません。カラーは3色展開となっており、落ち着いたデザインが人気です。

シルバーカー(老人用手押し車)の注意点

使用前の注意点

1.シルバーカーを支えにして立ち上がらない
寝ている状態から立ち上がろうとすると、膝に思うように力が入らないことや、痛みを感じることがあります。身体を動かすことに慣れていない状態では、シルバーカーに掴まった時に、バランスがうまく取れず、そのまま転倒してしまう危険性があります。
シルバーカーを使用する前に、まずは足踏みや屈伸運動などで足を慣れさせてから、歩き出しましょう。シルバーカーを安定感のあるものに変えてみるのもおすすめです。

2.折りたたみ式の場合、完全に開いているか確認する
折りたたみ式のシルバーカーを完全に開かずに使用すると、シルバーカーが不安定な状態になり、バランスを崩して、転倒する恐れがあります。
日常的に折りたたんで収納している方や、バス・電車などで折りたたんでいる方は、シルバーカーを開いて使用する際、完全に開ききっているか必ず確認をするようにしましょう。

使用中の注意点

1.ハンドル部分に荷重をかけて歩行しない
シルバーカーは、歩行が可能である方が使用するために作られた福祉用具です。自力での歩行が可能でない方が、支えのために必要以上に荷重をかけてしまうと、バランスを崩して前方へ転倒してしまう可能性があります。
また、荷重のかけ過ぎは、シルバーカーの破損・故障の原因になる可能性もあるため、意識して使用しましょう。

2.下り坂はブレーキを使用する
シルバーカーを下り坂で使用した際、シルバーカーの進む速度に足がついて行かず、転倒してしまう危険性があります。特に、ハンドルに寄りかかり気味の時や荷物が多い時に起こりやすいと言われています。
下り坂でシルバーカーに釣られて転倒しない為にも、ブレーキを使用しながら自分のペースを崩さず歩くよう心がけまましょう。

3.狭い場所で後方への移動は気を付ける
ATMなど方向転換の難しい狭い場所では、後ろにシルバーカーを引こうとすると、体重を支えることができずに後方へ転倒してしまう可能性があります。
後方へ移動することがある場合には、シルバーカーは持ち歩かず近くに置いておくようにしましょう。

4.方向転換時にバランスを崩してしまうことがある
前輪のキャスターを固定した状態で使用すると、方向転換時にバランスを崩して転倒してしまう可能性があります。
障害や筋力低下が進み、歩行が不安定な方の場合、シルバーカーを使用するのではなく、歩行器を使用するなど、シルバーカーにこだわり過ぎないことも大切です。

乗り物に乗る際の注意点

観光バス

1.バスに乗る際の段差が危険
乗車口に高さがあるバスは、乗りやすくするために、ステップと呼ばれる段差があります。シルバーカーは、 ステップのような高さのある段差を越えることが難しく、持ち上げながら乗る必要があります。
このような状況でも対応ができるように、最近ではコンパクトで軽量のシルバーカーも発売されてはいるものの、最低限の体力は必要なため、できるだけ無理はせず落ち着いて乗るように心がけましょう。
シルバーカーに買い物後の商品を入れたままでは、持ち上げることすら難しくなることもあるため、バスを利用する際は、持ち上げられる程度の荷物の量にすることも重要です。

2.エスカレーターでの転倒の原因
シルバーカーでエスカレーターを利用した際、降り口でブレーキの解除が間に合わず、キャスターが引っかかってしまうことがあります。バランスを崩して、転倒してしまう可能性があるため、大変危険です。
エスカレーターに乗る際は、シルバーカーは折りたたみ、エスカレーターの手すりを利用するようにしましょう。
歩行が不安定で自信のない方は、シルバーカーを付き添いの人に持ってもらうか、もしくは、一人の場合にはできるだけエレベーターを利用するようにしましょう。

座る際の注意点

1.ブレーキをかけてから座る
ブレーキがかかっていない状態でシルバーカーに座ろうとすると、動きやすくなっているため転倒の原因に繋がります。特に、シルバーカーに掴まって座ろうとする瞬間は、シルバーカー本体に体重をかけているためバランスを崩しやすく大変危険です。
シルバーカーを椅子として使用する際は、必ずブレーキをかけるよう心がけましょう。

2.端に座らないようにする
休憩をするために、シルバーカーの座面に座る際、椅子の端に座ってしまうと、シルバーカーがバランスを崩してしまい、一緒に転倒してしまう可能性があります。特に、小型のシルバーカーの場合は、座面が小さいため危険です。
この場合、最初から深く座ることが重要ですが、人によって筋力低下などの度合いが違うため、すんなりと深座りができないこともあります。あまり足腰に自信のない方は、危険回避のためにも、座面の広さなど安定性重視のシルバーカー利用を視野に入れておきましょう。

3.浅く座らないようにする
浅く腰かけると、本体が臀部に押されて後方へ移動し、転倒してしまう可能性があります。ブレーキをかけているからと安心していても、軽量のシルバーカーだからこそ、床の状態によっては動いてしまう可能性があります。
『端に座らないようにする』と同様、最初から深く座るよう心がけましょう。あまり足腰に自信のない方は危険回避のためにも、安定性重視のシルバーカー利用をおすすめします。

市区町村によっては補助金支給がある

シルバーカーは安い買い物ではありません。また、使用頻度が高ければその分劣化が進むのも早くなり、買い替える必要が出てくる可能性もあります。
そのため、皆さんの中には、可能であれば介護保険を利用してシルバーカーを安く購入又はレンタルしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、歩行機能を補い移動時に体重を支えることができる歩行器などとは違い、シルバーカーは介護保険の適用対象外となっています。

介護保険が適用されるための定義

・移動する際に体重を支えることができる
・車輪がある場合は身体の前方と左右が囲まれている
・車輪がない場合は足が四つで、腕を使って移動ができる

シルバーカーの場合、身体を囲むようにハンドルが付いていないため、移動時の体重を支えることはできず、 転倒に繋がる可能性があります。

シルバーカーと歩行器・歩行車は、構造や機能が異なるため、介護保険適用の可否はそれぞれ違います。
それならば、介護保険を利用してレンタルできる歩行器などが良いのではと考える方もいるかもしれません。 もちろんその選択肢もありますが、歩行器は、シルバーカーのように荷物を入れて押し歩くことや、休憩のために椅子として使用することはできず、遠くまで自由に歩くことも難しくなります。
そのため、歩行器などを利用しなければ歩けないほどの障害や筋力低下などが無い方には、シルバーカーがおすすめです。

シルバーカーを購入する際、補助金を利用できる場合があります。現在住んでいる市区町村によって、補助金の有無や金額、条件は異なりますが、シルバーカーの購入費を抑えることができるため、条件に当てはまるようであれば、ぜひ利用しましょう。
ここで、いくつか例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

▶千葉県市川市(https://www.city.ichikawa.lg.jp/wel02/1421000002.html)
対象者:65歳以上市民税個人非課税。
対象機種:四輪以上、腰掛けられる、荷物が入れられる、ハンドル・フレーム・ストッパーがある。
助成額:購入費の1/2(限度額8,000円)

▶群馬県富岡市(http://www.tomioka-syakyo.bz-office.net/service.html)
対象者:市内に住所がある、歩行に支障がある、65歳以上(補助が1人1回)
対象機種:市内の販売店で購入、四輪で安定感のある手押し車、ブレーキ等制御装置が付いている、椅子としての機能か荷入れがある。
補助額:購入費の1/2(上限5,000円)

▶茨城県石岡市(https://www.city.ishioka.lg.jp/page/page000476.html)
対象者:市内に居住・在宅、65歳以上、歩行時に補助が必要。
対象機種:詳細記載なし
補助額:購入費の1/2(上限5,000円)

どこの地域でも、65歳以上という年齢制限を設けていることが多く、金額の上限も定められています。地域によっては、指定の店舗でシルバーカーを購入することが条件の場合もあるため、補助金を利用したい場合は、現在住んでいる市区町村に問い合わせ、条件などを一度確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、高齢者におすすめのシルバーカーについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたか。
シルバーカーを使用することで、今まで大変に感じていた買い物や、行きたくないと思っていた散歩が、少しでも楽になるはずです。
購入時には、自分の目的に合ったタイプや機能を持ったシルバーカーを選べるように、ポイントをしっかり確認しておきましょう。
補助金の利用を考えている方は、市区町村に一度問い合わせしてみてください。

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