要介護者の方の中には、自力での水分補給が思うようにできない方がいます。そんな方におすすめしたいのが介護用コップです。持ち手やコップ内等が工夫されており、要介護者の身体状況に合わせて選べば、本人自ら好きなタイミングで水分補給をすることができます。要介護者の自主性が高まれば、介護者への負担軽減にもつながります。

目次

介護用コップとは

介護用コップとは

コップで水を飲む場合、腕を上げる・首を後ろに倒す・水を吸い込むなどの動作が必要となります。
しかし、要介護者の方は体を思うように動かせず、コップで飲むことが難しく、むせる・誤嚥を起こす場合があり、危険です。
介護用コップは、様々な身体問題によって通常のコップを利用して飲めない方におすすめで、蓋が付いていてこぼれにくいものや、ストローが付きの飲みやすいものなどがあります。要介護者の悩みに合わせて選べば、今まで上手に使えなかったコップが簡単に利用できます。

身体状況に合わせた介護用コップ

先程ご紹介した通り、介護用コップは要介護者の悩みに合わせて選ぶことが大切です。様々な悩みに合ったおすすめのコップについてご紹介します。

‣腕を上げられない
ストロー付きの介護用コップや内側に傾斜が付いている介護用コップがおすすめ。

コップで飲み物を飲む場合、コップを持っている腕を上にあげて傾ける動作をします。
しかし、怪我・筋力の低下・麻痺などに悩んでいる方は、この動作を行うことが困難なため、コップを傾ける必要のないコップがおすすめです。
また、コップを握ることが困難な場合、持ち手付きで、できるだけ軽い介護用コップがおすすめです。持ち手は片側のみのものと両側に付いているものがあるので、利用しやすい方を選びましょう。

‣首を後ろに倒せない
ストロー付きの介護用コップや縁の高さが場所によって異なる介護用コップがおすすめ。

首を後ろに倒すと上手に飲み物を飲めますが、筋力の低下や病気や怪我など様々な理由によって首を後ろに倒すことが困難な場合があります。

‣吸い込む力が弱い
口をつけて飲める介護用コップや、「吸い飲み」(急須のような形をしており、細長い口から直接飲む)がおすすめ。

年齢を重ねると、吸い込む力が少しずつ弱くなってしまう場合もあります。介護用コップは一般的にストロー付きが多く、おすすめですが、吸い込む力が弱いという方は、ストローで飲むのは難しいため、寝たままでも飲めるものがおすすめです。

‣むせやすい
吸い口が付いているものや、コップの内側に傾斜の付いているものがおすすめ。

気道と食道の分岐には「喉頭蓋」があり、食べ物や飲み物が器官に入らないようにする働きがあります。ここは、年齢を重ねると喉の筋力が衰えると、むせやすくなる可能性があります。
この場合、吸い口が付いているものや、コップの内側に傾斜の付いているものがおすすめです。

‣寝たきり
蓋が付いているコップがおすすめ。

寝たきりの方は、通常のコップで飲もうとすると、飲み物をこぼしてしまう可能性があります。蓋の付いているコップであれば、中身がこぼれにくくなります。また、吸い飲みも寝たまま飲む場合にはおすすめです。
ただし、寝たままの状態で飲む際は、誤嚥に気をつけましょう。

介護用コップの購入

介護用コップは、介護保険制度を利用できる特定福祉用具に含まれないため、自己負担で購入する必要があります。
また、レンタルも対象外のため、介護用品の取り扱いをしている店舗や、インターネットで購入しましょう。
介護用コップには様々な種類があり、機能などによって価格は異なります。安いものは1,000円以下、高いものは2,000円以上と、価格に幅があるので要介護者の状況に応じて選びましょう。
インターネットであれば豊富な種類のコップの中から選べますが、実物を見て考えたい方は実際に店舗へ行ってみましょう。
取り扱い店舗が見つからないという場合は、かかりつけ医やケアマネージャーなど、専門の方に聞いてみるのもおすすめです。

介護用コップを選ぶおすすめのポイント

持ち手付き

要介護者の場合、握力の低下によって、コップを意図せず落としてしまう可能性があります。
コップの持ち手には、片方タイプと両側タイプがあります。握力が弱い方には、両側タイプがおすすめです。 また、生きるすべての人に配慮されたユニバーサルデザインの商品を選ぶのも良いでしょう。
あくまで、両手を使用できる方におすすめの介護用コップのため、掴む・持ち上げるのが難しい方は慣れるのに時間が掛かるかもしれません。落とす心配がある方は、素材を割れにくいプラスチックにしましょう。

蓋・ストロー付き

蓋・ストロー付きの介護用コップであれば、持ち運びの間にこぼれる危険性も少なく、ストローで簡単に飲めます。また、寝たままでもストローを使って飲めるため、起き上がるのは難しいという方でも安心して使用できます。ストローの形状によっては横を向かず、仰向けの体制で飲めるタイプもあります。
ストロー部分は、洗って何度も使用できる、シリコン素材でできているものもあります。洗うのが面倒であれば、市販の使い捨てストローが使える介護用コップを選びましょう。

内側に傾斜

内側に傾斜が付いている介護用コップは、少し傾けるだけで飲めます。これは、誤嚥を起こす可能性にもなる、 頭を後ろに倒す姿勢をせずにすみます。首を後ろに倒せない方、腕が高く上がらない方におすすめです。
傾斜の付いている介護用コップの中には、内装・外装を二重構造にし、内部を中空にして軽量化しているものもあります。
このタイプは、保温・保冷効果があり、飲み物の温度を保ちながらも、中身の温度は直接手に伝わらないため、 しっかりと持てるように作られています。

縁の高さが異なる

縁の高さが異なるコップは、首を後ろに倒せない方におすすめです。
口をつける側の縁は高く、反対側は低くなっており、コップをかなり傾けても縁に鼻がぶつかりにくく、飲みやすくなっています。

介護用コップのおすすめ人気ランキング5選

第5位 三信化工 優々でんでんマグカップ

価格 830円
容量 240ml
重さ 99.8g

商品の特徴
可愛いデザインのカップですが、ユニバーサルデザインの商品です。通常のカップとは違う持ち手は、持ちやすく折れにくいとされています。また、持ってみるととても軽く、誤って落としてしまった場合も割れないところがポイントです。別売りの蓋を使用することでこぼれにくく、ストローを差して使用もできます。

材質
ポリプロピレン・エラストマー

第4位 浅井商事 ストロー付カップ

価格 1,167円
容量 220ml
重さ 90g

商品の特徴
ストロー付きのカップです。ストローは柔らかいため自由に曲げて使用できます。そのため、寝たきりの状態で飲み物を飲め、とても人気のあるカップです。また、ストローを外すことで吸いのみとして使用もできます。容器は軽く、熱に強い割れにくい素材なので、万が一落としてしまっても割れることがほとんどありません。

材質
ポリカーボネイト

第3位 SKATER ハンドル付ストローコップ

価格 715円
容量 280ml
重さ 109g

商品の特徴
倒れにくくこぼれにくい、蓋付きストローコップです。持ち手部分が幅広く作られており、とても握りやすくなっています。底面も安定感を重視した設計で倒れにくくなっています。蓋部分にはストローの差込口があるため、ストローを差して使用することができる商品です。電子レンジに対応しているので、温かい飲み物を温め直すこともできます。

材質
キャップ:ポリプロピレン
フタ・チューブ:ポリエチレン
本体:AS樹脂
吸い口:シリコーンゴム

第2位 オオサキメディカル プラスハートストローカップ

価格 825円
容量 250ml
重さ 59g

商品の特徴
軽く、落としても割れにくい素材のため、握力が低下している要介護者の方でも持ちやすいカップです。吸口は先端を細くしており、寝たきりの方が横になった状態で飲んでも、こぼれにくいのがポイントです。吸口・キャップともに抗菌加工がされており、細部まで洗浄できるブラシが付いているため、清潔な状態で使用ができます。

材質
本体:ポリカーボネイト
フタ:ポリプロピレン
吸口:スチレン・ブタジエンコポリマー
ブラシ:ナイロン

第1位 ピジョン ハビナースストロー付カップ

価格 1,320円
容量 200ml
重さ 116.2g

商品の特徴
シリコン製のゴムで使いやすく、長さもちょうどいいので誰でも使いやすいカップです。飲み口は簡単に向きを変えることができるので、自分の飲みやすい向きで飲むことができます。5つのパーツからできており、組み立ても簡単にでき、洗浄も楽々で人気があります。好きな持ち方で飲めるので、幅広く使用されています。

材質
本体:ポリプロピレン
ストロー:シリコンゴム

介護用コップ使用の注意点

むせにくい姿勢をとる

起き上がって飲む場合、ベッド・椅子などに寄りかかるように座る姿勢や、顎を上げた状態の水分補給はむせやすくなります。
≪ポイント≫
水分補給をする際には、できるだけ前傾姿勢で飲むと、むせにくくなります。

コップを清潔な状態にする

いつでもすぐに飲めるよう、介護用コップに水分を入れたまま置いておく方も多いのではないでしょうか。放置は、細菌が繁殖したり、中の水分が腐敗したりする可能性があります。
≪ポイント≫
使用する度に飲み物を入れる習慣をつけ、飲み終わったらこまめにコップを洗って消毒するようにしましょう。

状態を観察する

年齢を重ねると喉の筋力が低下するため、むせる時の力が弱くなり、思うようにせき込めず苦しい思いをする場合があります。
≪ポイント≫
発熱や痰が絡むなどの症状も考えられるため、変化がないか、こまめに状態をチェックしましょう。

まとめ

今回は要介護者におすすめの介護用コップについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたか。

介護用コップは、普段自力で飲み物を飲めない方におすすめの介護用品です。要介護者の好きなタイミング・ペースで飲むことができ、介護者の負担を減らすことにも繋がります。ご紹介した通り、種類も豊富なため、使用する本人の状況に合わせた介護用コップを取り入れるようにしましょう。

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